西日本で唯一、生糸を生産している西予市野村町。
着物の文化が西洋化するに従って、人々は安価な製品を求めるようになり、かつては愛媛県内に3箇所あった製糸工場も平成6年に全てが閉鎖しました。
日本全国に2500箇所もあった工場は、現在4箇所しか残っていません。
現存する4つのうちの1つが「シルク博物館」
糸づくりから染色、絹織物の全行程が学べる「シルク博物館」で蚕(カイコ)の一生について学びました。
蚕を育てる養蚕農家さんは、西予市に現在6件のみだそう。
ちなみに私は、虫が大の苦手です。
見るだけで鳥肌が立つのですが、頑張って理解しようとは思っているのです。(養蚕農家さんには決して嫁げませんが。。。)
蚕の一生(変態の過程)
「変態」と聞くと、大体は良からぬことを考えてしまうのですが、
辞書で見ると「変態」とは
と1番目に記述があります。
(2、3番目の記述に、誰もが思いつく「変態」の内容も書いてあるからダイジョーブ!)
思い浮かぶ可愛らしい例ですと、卵〜幼虫〜さなぎ〜蝶々などが変態の代表格と言えるでしょうか。
【蚕の変態過程】
卵
↓
毛蚕(とても小さく細いイモムシ)
↓
第1令 令を増やす時に「眠(みん)」というごはんも食べず動かない状態になり、約24時間くらいで脱皮し、体が大きくなっていきます。
↓
第2令
↓(眠、脱皮)
第3令
↓(眠、脱皮)
第4令
↓(眠、脱皮)
第5令 いちばん食欲旺盛、バリバリと桑の葉を食べます。5令の時に一生の食事のうちの80%を食べます。
↓
熟蚕(じゅくさん)
5令になって約1週間で熟蚕になります。桑の葉を食べるのをやめて、頭をフリフリしよく動き回ります。体もほんのり透き通って見えるそう。
そのタイミングで農家さんは蚕を「蔟(まぶし)」という集合住宅に移動してあげると、自分の気にいった個室に移動して、落ち着くと糸を吐きはじめます。
↓
営繭(えいけん)まずは上部の足場を吐いた糸で作った後に、下部の足場を作ります。と、ここで一生に一度だけオシッコをするそうです。その理由は、繭を汚さないためと、不要なタンパク質や、体液を排泄するためです。蚕は繭糸を吐かないと、体内が過剰タンパク質になって死んでしまいます。
↓
蛹(さなぎ)ーーーーーこの段階で糸を取る工程に入ります
↓
蛾
↓
産卵
なんと、毛蚕から第5令で体重が10000倍になるそう。3000gで生まれた人間の赤ちゃんが30トンになる、30トンというと鉄道の車両2両分くらいらしい。ちなみに新幹線1両は45トンあるんだって!(さらに不要な情報として、私の産まれた時の体重は4850gだったので、蚕なら新幹線級ですw)
養蚕農家では、縦型の回転蔟(かいてんまぶし)を使います。ひとつの蔟は12×13で156区画です。
回転蔟は、中心を支点に回転する集合住宅という感じ↓
熟蚕は足場糸を吐いて繭を作り始めるまで、上へ上へと登る性質が強いため、上部のお部屋に人気が集中します。(タワマンの高層階が人気なのは、人間も一緒ですね)
上層階に熟蚕が片寄ると、重さのバランスが崩れるため、支点を中心にぐるりと回転します。
上下の入れ替わりを繰り返すことによって、熟蚕がバランスよく区画に入って繭を作る位置を決めます。
養蚕農家さんは、蚕が繭を作り出して1週間から10日ほどで収繭、選別し、シルク博物館に運びます。
Comments